今回は“西公園開園150周年記念フェス”でお披露目運転となった5吋ゲージ(軌間127mm)のC601誕生のお話です。
ミニC601の製作開始は今から49年前に遡ります。製作者は千葉県にお住まいだった露崎進一さん。当時、日本工業大学・東京工業高校が開講したミニSL製作教室の第一期生で、知識、技術、財力(?)のある優秀な生徒さんだったそうです。教室の講師は、大石和太郎さん(1964年10月東海道新幹線開業日の上り初列車を新大坂~東京間で運転士を務めたレジェンドで、機械工作の専門家)で、その指導を受けながら1976(昭和51)年頃に憧れだったC601の製作に着手しました。ミニSLは実物の構造を理解してそのまま縮尺して作っても動きません。模型化する設計と工作力が必要です。そのため露崎さんは40数回も仙台の西公園に通って部品の採寸や構造を調べて設計図を引きながら製作を開始しました。しかし、無情にも20年ほど前に完成を待たず病没されてしまいました。
その遺志を引き継いだのは埼玉県在住の田嶋昭夫さんでした。しかし、田嶋さんは当時、国鉄・東海道新幹線の拠点である東京運転所の指導助役という要職に在り、模型に触れる時間さえままならない忙しさで、実際に製作を開始したのは今から10年前のことでした。また、作りかけの機関車と図面だけでは完成できないので、田嶋さんもやはり何度も仙台に通って実物のC601を観察しながら製作を続けました。そして遂に昨年(2024年)の10月完成に漕ぎつけたのです。露崎さんの着手から実に48年越しの完成でした。試運転で蒸気を吐き、客車を牽いて走る田嶋さんの姿に露崎さんは天国から拍手を送ったことでしょう。そのミニSLが仙台の地にやってきて、実物のC601号機の足下を走ります!


